英語に限らず、各教科の問題集や参考書を選ぶ際にはまずは学校準拠のものを選んでくださいということはすでに書きました。学校準拠のものを選ぶ理由はいろいろとありますが、英語でいえば、学校準拠の問題集には「知らない英単語が出ていない」これが大きな理由です。
知らない単語が出たら調べればいいじゃないか!
知らないことを知るのが勉強じゃないか!
なんてほざく人は、無残です。
勉強をするというのは高いハードルです。特に英語が苦手とか、英語が嫌いという子供に英語の勉強をさせるとき、そもそもカンタンな英語だって見たくもないのに知らない英単語がズラッと並んでいたら、もうそれだけで意欲は減退してしまいます。
「調べる」という行為がどれほど高いモチベーションを必要とするのかをよく考えましょう。
しかし、教科書で見たことがある、授業できたというステップがある場合、たとえそれらの英単語が書けなくても、とりかかりやすくなります。その意味で学校の教科書準拠から取り掛かるというのは「勉強のハードル」を下げることになる。
そういう意味から言うと本書は「ハードルが高い」参考書と言えるでしょう。公立中学校でやる英語にもの足りなさを感じている生徒、英語が好きで好きでたまらないという生徒、中高一貫校で早めに中学の履修内容を終えている生徒におススメです。
本書は、2005年7~9月放送のNHKテレビ「3か月トピック英会話ハートで感じる英文法」をまとめた一冊で、英文法を「感覚」でマスターしようというもので英文法の基本的かつ重要な12のトピックをわかりやすく解説しています。
「会話編」などの続編もありますから手にとっておもしろいと思えばどんどん読み進んでもイイですね。
レッスン1では「イメージでつかむ前置詞の世界」で「感じているかい?」と問いかけられます。ちょっと引きますねえ。そして、「訳で覚える」は通用しない、「用法で覚える」は通用しないと従来の学習法をバッサリ斬り、前置詞を理解する唯一の方法は「感覚で理解」することだと書かれ、トップバッターの前置詞は「on」からの説明。
著者の大西泰斗さんは見たことがある人も多いと思いますが、
「英語界のポール牧か?」
と思わせるほど、話の合間合間で「指パッチン」を行います。いやいや英語だから「フィンガースナップ」か。この突込みどころ満載のポール大西先生の講義は必見です。
英語っておもしろいなあと感じさせてくれる本です。私は公立中学校の生徒には高校入試を終えて高校入学前の勉強の指導の際に使っています。英語が得意な中高一貫生の生徒はぜひ中3の秋以降に触れてみて下さい。